日弁連提言の養育費新算定表とは

養育費新算定表

 

養育費に関する新しい算定表を日弁連(日本弁護士連合会)が2016年に提言し、最高裁判所長官および構成労働大臣、法務大臣へ提出しています。
養育費の新しい算定表は、養育費が持つ生活保持義務の理念に照らし、母子家庭を取巻く現実が抱える問題解決の一助にすべく算定されたものだと言えるでしょう。

 

離婚によって母子家庭となり、養育費を受け取ることができているのは約20%に過ぎず、子供の貧困や教育機会の不平等を生み出す要因となっています。
また、現在の養育費算定表から算出される養育費の金額は、現在の社会環境から金額が低すぎるという批判が少なくありません。
たとえば、子供が「将来は医学部に進みたい」という夢や希望を持っていたとして、シングルマザーがどんなに一生懸命に働いても、我が子を医学部へ進学させてやることは難しいのが現実です。
子供は経済的な理由から将来の希望をあきらめ、進学を断念して理想とは異なる職に就くことが多々見られます。

 

はっきり言えば裕福な家庭に育てば高等教育も受けることができ、高額な受験塾にも入れて、莫大な学費のかかる私大の医学部も入学することが可能です。
一方、経済的に困窮している母子家庭などの子供は望んだ教育を受ける環境に恵まれず、不本意な人生を余儀なくされることも起きています。
家庭に経済力があるか否かで子供たちの未来が決まっていくという格差社会の是正に、養育費の金額改定を通して日弁連が取り組み始めました。

 

 

【養育費の新算定表では金額は現在の1.5倍へ!】
養育費の新算定表では、母子家庭の経済的な安定や子供へ十分な教育機会を提供するために、養育費がこれまでの約1.5倍に上がるようになっています。
養育費を払う義務のある親は、子どもに対して自分と同じレベルの生活水準を保障しなければならない生活保持義務を背負っています。
しかし、現在の算定表による金額では、母子家庭が安定した経済基盤を得るにはあまりに低い額だと言わざるを得ず、養育費算定表が作成された2003年以降、景気の変動や物価の上昇など外的要因があったにもかかわらず、一度も見直しがされてこなかったことも問題視されています。

 

 

<養育費新算定表による試算>
ここでは、実際に新算定表を使った場合の養育費の額について試算してみました。
条件@:15歳の子どもが一人
条件A:親権者であり監護者であるシングルマザーの年収は200万円
条件B:養育費の支払い義務がある父親の年収は500万円

 

現行の養育費算定表から出された養育費=5万円
新しい養育費算定表から出された養育費=9万円

 

この差額は4万円となり、貧困にあえぐ母子家庭にとってみれば大きな一助になる金額であると言えるでしょう。
一方で、養育費の支払い義務がある父親にとってみれば、経済的な負担が増すことになります。
正直言って、新試算表に対する評価は千差万別。賛成と反対が混合しているのが現実ですし、新算定表の導入も決まっていません。
そのため、養育費を払うべき父親だけにお金の負担を背負わせるのではなく、社会もしくは地域の責任としてとらえるべきだという意見も出ています。

 

父親には最大限の責任を取ってもらい、それでも子どもの生活水準が低く、教育機会に恵まれないならば、社会や地域の責任でカバーしていく…という考え方。

 

人それぞれにさまざまな意見や考え方があると思いますが、未来を担うという大切な役割を持った子どもには、せめて教育機会を平等に提供してあげたいと思います。

 

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